『岳』 屏風岩に登った人

2010年9月29日 投稿者: アルプスちえみ

『岳 -みんなの山-』に出てくる屏風岩(びょうぶいわ)は実際にあるんですよ。第1巻 第4歩 「イナズマ」などに出てきます。
上高地の横尾から涸沢に向かって間もなく左側にそびえ立つ大きな岩です。
実際に見たことはないのですが、この岩を登る人たちがいるのです。
カテゴリーを「行ってみました」にしてありますが、私は屏風岩の下には行ったことがありますが登ったことはありません。今回は登った人のお話です。カテゴリーとちょっとずれてますがお許し下さい。

やまたみ登山学校の講師をしている高橋さんも今から40年ほど前の1960年代~1970年代に岩登りに夢中になっていたそうです。

登山をする人の中でも岩登りまでする人はわずかです。
登山をしない人がなぜ山を登るのかわからないように、岩登りをしない人には、岩登りをする人の気持がわからないものです。

高橋さんに岩登りをしていた頃のことをお聞きしました。

どうして岩に登っていたのですか?怖くなかったですか?
岩を登りきったときの達成感のために登っていました。毎回怖かったですよ~。
岩に取り付くまでは怖くて怖くて“嫌だな~、登りたくないなぁ”と思い、岩に登らなくて済む理由をあれこれ考えていました。それが岩に取り付くと無我夢中で怖かったことなど忘れて登っていました。それで登り切って岩の天辺に立ったときの達成感ですっかり気分が良くなって「今度はどこに行く?」なんて計画を立ててしまって、また計画した岩に行くときには怖くて登らなくて済む理由を考える・・・その繰り返しで登ってました。

(↑ 上の写真に写っているのは高橋さんのお仲間です)
恐怖心が常にあったので克服するために練習をしていました。練習をしていないと不安なのでよく扉温泉に行く途中の「立岩(たていわ)」に通っていました。休みの日だけでは練習が足りないと思ったときには、その近くにテントを張ってそこから通勤していました。(笑)
岩登りには腕や脚の筋肉を使うので、当時はふくらはぎの太さが自慢でした。
一緒に岩登りをするパートナーは大体決まっていました。気が合わないとうまく登れないんですよ。登る前に「2回ロープを引っ張ったら・・・」なんて合図を決めておいてもその通りには行かないものです。先頭の人が全く見えない状況のときもあります。ロープの動きからパートナーの状態を判断して行動していました。
一つの岩場でもいろんなルートがあり新しく作ることもできます。まだ誰も登ったことのないルートを行くのが楽しみでした。何回も行ってやっと達成することもあれば、結局できなかったこともあります。1日では登りきれないこともあります。そんな時には、岩場で野宿です。岩に体を縛り付けて眠ります。屏風岩には岩と岩の間に挟まって眠ることができたので縛り付けて寝るよりも楽でした。夏に岩場で野宿をしたときには、ブヨに顔や手など肌が露出している所を全部刺されて辛かった~。
岩に穴を開けてボルトを打ち込み、リングをつけてザイルの確保をして登って行きます。今までに登った人たちがつけたリングは何回か使っているうちにまん丸だったものが伸びて楕円になっていることもあります。いつまで使えるのかわからない恐怖もありました。
ナイロンザイル事件の後から岩登りを始め、この岩登りの本「現代登山全集2 槍 穂高 上高地」(創元新社発行)は私にとってバイブルなので山にも持って行きました。(中のページには線がいくつも引かれ読み込んでいた様子が伺えます)

他にも写真を見せていただきました。

1968年8月「雨の上高地」       1960年代「沢渡バス待ち」


1968年1月「霞沢岳(かすみざわだけ)」   松本登高会「明神ひょうたん池」


1965年8月「奥又合宿」
奥又白池でテント泊

合宿では新人は重い荷物を運ぶのが慣例で、男性でも泣くほど辛かったそうです。昔は今の道具に比べると軽量化されていないためテントなど非常に重かったそうです。
時々女性が食事係として参加していました。
この時のことか定かではありませんが、昔は肉を保存するのが難しかったため鶏を生きたまま山に連れて行き、えさを与えてお世話した後、山で頂いてしまうこともあったそうです。チキンにするのは男性の仕事でした。ワイルドなお話です。


さて、岩を登り切った後どうやって降りてきたと思いますか?下るのも怖そうだと思いませんか?
屏風岩の上には登山道があるのでその道を下ったそうです。日本では大抵登山道があるので道を下ります。


屏風岩は ここ(赤い丸) ↓ です。

【市民記者:アルプスちえみ】

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