2012年4月のアーカイブ

【松本大好き!M100】#010…まんが家・エッセイスト:鈴木ともこさん

2012年4月7日 投稿者: kobayashi[ コメントはこちらから:1 通 »


鈴木ともこさん 2011年5月から松本市在住
出版社勤務を経て、作家として独立。著書にコミックエッセイ『山登りはじめました』シリーズ、『強気な小心者ちゃん』シリーズ(以上、メディアファクトリー)、4コマ漫画『笑う会社』(以上、祥伝社)など多数。
出身は東京都だが、山好きが高じて松本市に移住。自身の山登り体験をまとめた『山登りはじめました』は累計11万部を超え、山に登ったことのない初心者からベテランまで、老若男女を問わず好評を博している。
現在は、ハワイのアウトドアをテーマにしたコミックエッセイを執筆中。

◆松本について◆
私にとって、松本との縁は意外に古く、初めて訪れたのは生後半年らしいです。母の親友一家が松本に住んでいて、中学生になるまで毎年遊びに来ていました。
もちろんそのときは、松本に住むとは思っていませんでした(笑)。

子どもが生まれて、自然に近いところで子育てをしたかったことと、東京にも出やすい距離、そして街の持つ魅力にも惹かれ、引っ越しをしてきました。最大の決め手は、大好きな北アルプスを見ながら暮らせることです。東京と違って、人にぶつからず歩けるのもうれしいですね(笑)。

松本の街を散策するのが大好きです。古い文化が残っている一方、新しいものを取り入れているのがとても心地よく、歩いているだけで楽しくなります。代々続く老舗と、新しくできたおしゃれなお店がうまく調和していると、しばらく見惚れてしまいます。

また、あめ市のような伝統的なお祭りもあれば、クラフトフェアなど新しく始まったイベントもあって、特に夏にかけてはイベントが多く、それもとても刺激的です。松本ぼんぼんには、ぜひ踊り手として参加してみたいです。

住めば住むほど、松本の魅力を実感しています。引っ越してきてからまだ1年経っていませんが、今や東京から松本に戻ると、ホッとしてしまいます。

松本の方々には、冬の寒さを心配されることが多かったのですが、意外と大丈夫でした。
冬は、寒い時期ならではの良さもたくさんあります。私にとって一番うれしいのは、空気が澄み、北アルプスが一層美しく見えること。松本城越しに見る、青空の常念山脈には、いつも感激してしまいます。
あと、寒い中でいただく蕎麦、鍋、日本酒もおいしいですし(笑)。

寒さ対策には、アウトドアウェアが大活躍でした。特に、メリノウールという素材のアンダーの上下と、軽量のダウンジャケットが快適で、お持ちでない方には絶対オススメしたいアイテムです。街だけでなく、山でも活用できるので(笑)、買って損はさせません!

人との出会いがまたいいですね。松本には親切な人が多いと感じています。
立ち寄った酒屋さんでお茶を頂いた上に、採れ立て野菜まで頂戴してしまったことがあります。全国展開するチェーン店であっても、店員さんと会話が生まれることがあって、それも楽しいです。

散歩と同じく、のんびりサイクリングするのも好きです。牛伏寺(ごふくじ)や安曇野にある『モンベル』まで出かけることもあります。
そう言うと驚かれますが、実は電動アシスト自転車なので、それほど大変ではないんですが。
〔記者の補足:松本の街中から上記2箇所へは、それぞれ相当な距離があります。なかなか実行する人はいないでしょう。〕

東京から友人が来たときは、『力車(りきしゃ)』や『すいすいタウン』を薦めています。無料貸し出し自転車は、観光客にとても優しいサービスですよね。
一通り街を見て回ると、みんな松本が好きになるみたいですよ。毎回、「松本に移住しちゃえば」なんて言って(笑)、見送っています。

身近に、川や湧き水があるのもいいですね。女鳥羽川に降りて遊んでいる子どもの姿は、素敵な光景だなあと思います。
あがたの森公園もとても好きです。美しい庭園でくつろげるだけでなく、その風景に調和した文化的な建物があり、いろんなイベントもあって面白いです。


◆山の楽しみ◆
6年ほど前から山登りを始め、最初の2年くらいは、週1のペースで登っていました。

とはいえ、学生時代は完全にインドア派で、マラソンも水泳もできるだけやらなくて済むように、ときには仮病も使うほど(笑)運動を避けていました。
今も、山を制するというよりは、ゆっくり登らせてもらうという感じです。

私は漫画の中で『リサーチ番長』と名乗っているのですが、山に行く前には、本やインターネットなどで、山小屋や下山後の温泉、グルメ、お土産などについて情報収集しています。山登りの楽しさは、計画して準備するところから始まっていると感じています。

特に好きなのは、山小屋です。行きたい山小屋を決めてから、登る山を決めることも多いです。“おいしい・かわいい・たのしい”ことが大好きなので、山小屋の“食事・おみやげ・人との出会い”を期待して出かけます。

最近見つけたお気に入りの山小屋は、昨年常念(じょうねん)山脈を縦走したときに泊まった、大天荘(だいてんそう)です。スタッフの方がみんな素敵な笑顔で、山への熱い思いを抱いていて、スタッフの方に会いに行くためにまた登りたくなってしまいます。

ある山小屋のご主人が、「プラス発想しないと山には登れない」とおしゃっていました。
私もそうだと感じています。山では、何があっても自分の足で進まなければいけません。でも、どんなに山頂が果てしなく思えても、一歩一歩進めば、必ずゴールにたどり着くことができます。

しかも、山にいると、出てくる言葉が自然とポジティブになるんです。「がんばって!」と励まし合ったり、「よかったね」と喜び合ったり、どこそこの山が良かったとか、今日は雲海がキレイだったとか。誰も、会社の愚痴なんて言っていません(笑)。

山では、年齢も性別も肩書きも関係なく、“山が好き”という1点だけで、温かい会話が生まれます。街ではなかなかないですが、山では、心の壁が低くなるんですね。

山でのそういう体験は、日常生活でも、自分を支える元気につながっていると思います。

著書の『山登りはじめました』を読んでくださった方から、たくさんのお手紙やメールを頂くのですが、下は5歳から上は88歳まで、いろいろな世代の方が、山への思いをギッシリ書いてくださいます。山で撮った写真付きの報告も多く、夏山シーズンになると毎日のように頂きます。著者として、こんなにうれしいことはありません。

松本に住んでいる方からも、学校登山がつらくて、山なんて……と思っていたけれど、本を読んで興味を持って、実際に同じコースで常念山脈の縦走をしたら、山の素晴らしさにやっと気づいた、というメールを頂きました。本当にうれしかったです。

私は、山で守らなくてはいけないルールは、
 1、安全に下山する
 2、自然を壊さない
 3、人に迷惑をかけない
の3つしかないと思っています。それさえ守れば、あとは自由です。テントを担いでも、山小屋でのんびり過ごしても、何日縦走しても、日帰りでも、かわいいウェアを楽しんでも、硬派なクライミングを楽しんでも、全部自由。山には、それを受け入れる懐の深さがあります。

山に登るたび、「みんな山においで~!」と、心の底から思います。
山登りは競争ではありません。人それぞれ、好きなスタイルで自由に楽しめるんです。
ぜひ、1人でも多くの方に、日本の山の美しさ、山登りの楽しさを知っていただけたら、と願っています!

鈴木ともこさんのサイト 【ドロップ】→ こちら

<記者の感想>
昨年2011年11月20日に行われた【岳都・松本「山岳フォーラム」】にパネラーとして出席された鈴木さんの話にとても感心させられました。
性別や年齢を越えて、皆が同じように楽しめる。それが山の一番いいところなのに、『山ガール』という言葉を使って若い女性を区別してしまうのは、それを否定するニュアンスがあるのではないか、とおっしゃっていました。
インタビューをさせていただき、鈴木さんの“たくさんの方に山を楽しんでほしい!”という思いを再度熱く感じました。
松本の生活を「大満足!」と言っていただき、うれしかったです。 【市民記者:小林】